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なごり雪・・・

馴染みのお店というのは実にいいものである。
決してグルメではないけれどそのお店ならではの料理をいただくのは大好きだし、決して通ではないけれどお酒も大好き、決して人懐っこいわけではないけれどよく出会う常連さんと会話するのも大好き、そして何よりそのお店を仕切っておられる方とお話するのが大好きである。今まで色んなところに住んできたけれど、そんなお店が各所にある。酔っ払ってクダを巻いたり、仕事のグチを吐いたり、いろいろご迷惑をおかけしていると思うけれど、本当にありがたいと思う存在だ。

ただ、そんなお店達もいつまでも続くわけではない。関西勤務だった頃の馴染み店の内、既に2軒が姿を消した。しかもよりによって最も好きだった2軒である。昨年2月には私の馴染み店では最古参の存在であるお店がアクシデントに見舞われて窮地に立たされた。幸い何とかお店は続いているけれど、予断を許さない状況であることにかわりはない。
当たり前かもしれないけれど、思えば私の馴染みのお店は私より年上の経営者がほとんど。そんな人生の先輩達との会話は私の重要な課外授業にもなっているわけだが、私が齢を重ねていつの間にか不惑に達したように、先輩達も同じ数だけ年輪を重ねておられる。全てが年齢の順番通りというわけではないけれど、馴染みのお店が消えていくのもやむを得ないことではある・・・。そう思わないとやってられない・・・。

実は昨日20日を以って、また1軒、私の大事なお店が姿を消した。私にとっては比較的歴史が新しいお店だが、年明け早々に「お店を閉めることにしました」とマスターから伺ってショックを受けつつ、「来るべきときが来たのかな」とも思った。会社生活においても、お世話になった諸先輩方が定年を迎えられたり、天寿を全うされたりしているのだ。会社勤めを全うされたマスターがお店を開いて既に9年、閉店というよりは卒業なんだろうなぁ、としみじみ思った。

正式には19日が最終営業日で、20日は常連客が集まっての”卒業式”という段取りだったので両日ともお邪魔してきた。顔馴染の方が多数揃われて久し振りに活気がある店内、仕方がないことではあるのだが名残惜しいね、正直なところ・・・。

Peintre_20080120.jpgえ、なんでそこにフィドルがあるのだ・・・?
いやいや、このお店で一番の思い出といえばパントル、というくらい私には忘れ難い思い出があるんですな、実は・・・。

何度か当ブログでも紹介したが、私の愛器パントルは福の神が降臨した2004年阪神ジュベナイルフィリーズの配当で私の手許にきた楽器である。そしてこのお店は「福の神降臨劇」の重要な役者だったのだ。

時は2004年12月4日(土)、前日に賞与が出て気が大きくなっていた私は別の馴染み店(以下、A店)でマスターと話をしつつ競馬の予想をしていた。特に新聞に印や書き込みをすることなくアッサリと3頭が浮かび上がった。不思議なものでこんなときに限って競馬仲間から頻繁に電話がかかってきたりする。誰に対しても一言、「◎ラインクラフト、○アンブロワーズ、▲ショウナンパントル、これ以外は要らない」と吹聴していた。滅多にないことだけど絶対当たると思っていたんだよね、なぜか・・・。(結局、電話してきた連中は誰一人として買っていなかったんだけど、信頼度の問題ですな・・・苦笑

A店で暫し飲食した後、このお店に。常時出勤されていたのはマスターだけで、曜日によってマスターの奥さんやバイト嬢が出勤される家庭的なスナックだが、このバイト嬢がなかなか面白い。聞くところによると嬢の父上は無類の競馬好きで全国の競馬場に顔を出しておられ、母上は馬が好きで北海道まで何度も馬を観に行っておられる。何より奮っているのは、買ってきた馬券を茶の間のテーブルに並べて家族全員で競馬中継を愉しむという、バクチが持つ殺伐とした印象からはとても想像できない家庭団欒の様子だ。そんな環境にお住いだから必然的に嬢も競馬に馴染みがあり、頼めば馬券も買ってきてくれるという私設場外馬券場となっていた(実際には嬢がマークシートを埋めて父上に依頼されていたそうだ)。

普段PAT投票で馬券を買うのがほとんどだが、折角迷いなく決まった買い目だし、翌日変な気を起こして買い目を変更した挙句ハズしてしまったなんてことがないよう、嬢に「頼んでも大丈夫かい?」と尋ねたら了承を得た。阪神JFは女の子のレースということで嬢にも1頭だけ選ばせて(結局この馬はドンベだった・・・笑)馬連と3連複を4頭ボックス、金額配分を調整して投資金1万円とともにお願いした。(翌朝、再度新聞をしっかり眺めたけどやっぱり最初に選んだ3頭以外は全くピンとこなかったので、PATで1万円追加投資)

結果は大当たりだったわけだが、嬢に頼んだ方は「馬連×1,000円、3連複×3,000円」が、PATの方は「馬連×1,000円、3連複×1,000円、3連単×200円」が的中、各々券種組合せが違う割には配当額はほぼ同程度だった。
例によって家族団欒で競馬観戦されていた嬢のお宅は、見事な的中振りと多額の配当で大騒ぎになったらしい。いや、正確に言うと私の周囲の人間全てが私を含めて数日間大騒ぎしてた・・・笑。このお店では他の競馬ファンの方と当たるたびにボトル交換する風習がこの時期くらいから常習化した。
後日、当たり馬券を嬢から受け取り相応の謝礼をしたわけだが、この当たり馬券の換金分がパントル購入資金にそのまま流用されたのである。
(その後私は、A店とこのお店では競馬に関して一目置かれる存在となった)

長くなってしまったが、上記のような思い出話もあるし、何度か余興でフィドルを弾かせてもらったりしたし、というわけでパントルにお出まし願いチョロっと弾いた次第である。

就職したての頃にA店でお会いした方々、このお店で知り合った方々、そして開店以来一貫してお店をやり繰りしてこられたお三方、みんなで思い出話やら十八番の歌回しやら、まったりと過ごす。出てくる料理とアルコールの豪華さに「まるで開店祝いみたいだね」とみんなで笑いあったけれど、参加者全員がそうであってほしいと思っていたに違いない。ほんと、いい雰囲気のお店だった。皆さん歌も上手で選曲のセンスも素晴らしかったし、中には釣りの名人もいらっしゃって、釣ってこられた魚をこのお店でいただいたこともしばしば。ダービーや有馬記念などビッグレース前日は競馬予想会の会場と化したことも。一スナックというよりは社交場だった。天気予報通りの降雪はハッキリ確認できなかったけれど、少し降ったらしい。正しく「なごり雪」だね・・・。

Hotaru_20080120.jpgマスター、奥さん、そしてバイト嬢、お疲れ様でした。本当に素晴らしいお店でした。今後は同じ客同士の立場で飲み明かしましょう

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[ 2008/01/21 22:34 ] Session & Event | TB(0) | CM(0)

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