ブログに記事を上げる順番をどうしようか、と悩んだ土日のイベント達だが、このネタは二日間見た後でじっくり自分の頭の中を整理した上で書いた方がいいと判断した。 9日・10日はCock O' The Walk のセッションが連荘であったが、夕方にあるコンサート観戦も連荘だった。そう、やっと見る機会に恵まれた、Martin Hayes & Dennis Cahill である。
待望の最新作『Welcome Here Again』を引っ提げての来日、関東地区は8日の門前仲町、9日の浅草、10日の三鷹の3箇所公演。本当は8日がいいと思っていたんだが出張が確実だったのでそれは叶わず、残り二日間を楽しんできた。(10日のチケットはKen10 さんにお世話になりました。ありがとうございました♪)
1.演目について 最新作ではマンドリンが新たに導入されていて新鮮だったわけだが、前作『Live In Seattle』やらその前のスタジオ録音『Lonesome Touch』で印象的な長~いセットはなく、今回のライブはどうなのかなぁ、というのが観る前に気になっていた。ま、上の写真をご覧いただければわかると思うけど、やはりライブではとてつもなく長いセットになってますね。しかも、1曲の繰り返し回数が異様に多い。毎回フレージングも変えて曲を綴っていく自在性は見事としか言いようが無い。静→動のウネリが凄まじい演奏で、期待以上の凄みを感じる演奏でした。
2.Dennis Cahill Dennis Cahill のギターは多分ノーマル・チューニングですね。静の間は単音もしくは2音程度で1拍・3拍中心。徐々に構成音を増やしていって手数も増えてきます。ジャズでよく使用されるテンション系のコードも違和感無く織り交ぜておられました。ずっとMartin Hayes の方を見て即座に反応される様が実に見事でした。 Mandolin を使ったセットも1セット披露してくれました。序盤はユニゾン、後半は2声もしくは3声中心のコードワークを交えつつ盛り上げていきます。ユニゾンの時はお互いの音が溶け合う感じで素晴らしいし、コードワークでの盛り上げ方もギターとは一味違って素晴らしかったです。ほんと、ニクい方ですねぇ♪ ナイロン弦使用のためでしょうか、チューニングには相当時間をかけておられました。ハイポジションをよく使われるからでしょうか、かなり高いフレットを使って何箇所もオクターブを確認されていました。
3.Martin Hayes まずは弓の持ち方にビックリ。中指と薬指はまったく弓に触れていないようです。若干短めに弓を持っていますが、極端に短く持っている感じではなく、ごく普通の位置に近いと思います。ゆったり弾くときは親指・人差し指で保持しつつ小指が添えられていますが、お得意の跳ばし技が出始めるとその小指も使っていません。イメージ的には弓の元の方に手のひらが向いている感じといえば分かりやすいでしょうか。 ボウイングは真ん中あたりを使うのが基本にあるのかなぁ、という感じでした。音量は使う弓の長さと圧の両方を巧みに使い分けておられる印象があります。ここぞというところでは全弓。低音弦を引っ掛けるときの軽やかさも見事でした。 左手はどちらかというと「お盆持ち」に近い感じ。想像以上にカットが多く入っていました。文字通り音を切るためのカット以外に、独特のアタックが効いた装飾音らしい入れ方等、実に多彩な芸でこれもお見事。指のアクションは想像通り小さかったです。ビブラートは嫌味がない程度に心地よく。手が大きいのでスライドの所作はよく確認できませんでした。 そして今回生で拝んで強く思ったのはデュオだけどほぼトリオの演奏なんだなぁ、と。Martin Hayes のステップはバウロン要らずというか、第三の楽器になっているんですね。ゆったり弾いていても速くなっても常にオンビートの状態にあるというのが今回よくわかりました。 ポジション・チェンジは見る限り一度もなかったように思いますが、「The Dear Irish Boy」は3rd ポジションでした。後、後半のリール曲でE線のCもしくはC#を小指を伸ばして弾いていると思われる箇所がありました。