fc2ブログ






素晴らしい音に圧倒された二日間

ブログに記事を上げる順番をどうしようか、と悩んだ土日のイベント達だが、このネタは二日間見た後でじっくり自分の頭の中を整理した上で書いた方がいいと判断した。
9日・10日はCock O' The Walk のセッションが連荘であったが、夕方にあるコンサート観戦も連荘だった。そう、やっと見る機会に恵まれた、Martin Hayes & Dennis Cahill である。

なかなか決定版といえる映像が入手できないこのお二人であるが、これなんかは比較的いいのではないか、と思う。

http://jp.youtube.com/watch?v=VWbBbzOCEmw

待望の最新作『Welcome Here Again』を引っ提げての来日、関東地区は8日の門前仲町、9日の浅草、10日の三鷹の3箇所公演。本当は8日がいいと思っていたんだが出張が確実だったのでそれは叶わず、残り二日間を楽しんできた。(10日のチケットはKen10 さんにお世話になりました。ありがとうございました♪)

「腹がたつほどスローで、耐えがたいほど美しい」というAcoustic Guitar誌評に妙に惹かれて買った『Lonesome Touch』がキッカケで大好きになったこのコンビ、果たして生で聴く印象、弾いている感じなどはどんなものか本当に楽しみだった。これのお陰で5泊6日のキツイ出張に耐えることが出来たといっても過言ではない。

9日はLion Building Gallery@浅草。小ぢんまりとした会場で、ここで盛岡からのTRADさんご夫妻と無事対面。オサムさんと後は「おだいどこやなぎ」さんご夫妻ともお会いしました。(前日は門仲公演の後、お立ち寄りになったそうです。うらやましいですねぇ。)

10日は武蔵野市民文化会館。こちらは多分これまで観に行ったコンサートの中で多分最も知人が多くいたコンサート。幕間では色んな方々とご挨拶。Oださんに至っては100名くらい知人がいたらしい。「この会場を爆破したらアイルランド、ケルト系音楽好きの3割くらいは減るんじゃない?」という彼ならではのジョークも納得の客層でした。

IMGP2021.jpg武蔵野の方は終演後に当日の演目を掲示してくれていたので載せておきますので参考になさってください。(サムネイルにしてます。)
8日の門仲はどうだったかわかりませんが、9日・10日とも1st Set 、2nd Set、アンコールの1曲目までは同じ構成になっていたと思います。アンコールの1曲目は「Lafferty's」から始まるセットで「Master Crowly's」も入ってたかな。ご存知の方、教えていただけると助かります。
曲名がよく分かりませんが、2度目のアンコール、構成は違いましたが最後はFoxhunter's Reel(Key = A) でした。これは推測ですが、浅草のときは曲を切り替えるときにMartin がキーをDennis に指示していたのでその場でMartin が考えたセットだと思います。
(以下、12日追記。武蔵野の方はアンコール2曲目の最初はSean Ryan's Jig だったか、と。今更ながら思い出すのが不思議です・・・笑)


以下、雑多ですが感じたことをズラズラと書きます。思い出したことがあればまた追記していきたいと思います。

1.演目について
最新作ではマンドリンが新たに導入されていて新鮮だったわけだが、前作『Live In Seattle』やらその前のスタジオ録音『Lonesome Touch』で印象的な長~いセットはなく、今回のライブはどうなのかなぁ、というのが観る前に気になっていた。ま、上の写真をご覧いただければわかると思うけど、やはりライブではとてつもなく長いセットになってますね。しかも、1曲の繰り返し回数が異様に多い。毎回フレージングも変えて曲を綴っていく自在性は見事としか言いようが無い。静→動のウネリが凄まじい演奏で、期待以上の凄みを感じる演奏でした。

2.Dennis Cahill
Dennis Cahill のギターは多分ノーマル・チューニングですね。静の間は単音もしくは2音程度で1拍・3拍中心。徐々に構成音を増やしていって手数も増えてきます。ジャズでよく使用されるテンション系のコードも違和感無く織り交ぜておられました。ずっとMartin Hayes の方を見て即座に反応される様が実に見事でした。
Mandolin を使ったセットも1セット披露してくれました。序盤はユニゾン、後半は2声もしくは3声中心のコードワークを交えつつ盛り上げていきます。ユニゾンの時はお互いの音が溶け合う感じで素晴らしいし、コードワークでの盛り上げ方もギターとは一味違って素晴らしかったです。ほんと、ニクい方ですねぇ♪
ナイロン弦使用のためでしょうか、チューニングには相当時間をかけておられました。ハイポジションをよく使われるからでしょうか、かなり高いフレットを使って何箇所もオクターブを確認されていました。

3.Martin Hayes
まずは弓の持ち方にビックリ。中指と薬指はまったく弓に触れていないようです。若干短めに弓を持っていますが、極端に短く持っている感じではなく、ごく普通の位置に近いと思います。ゆったり弾くときは親指・人差し指で保持しつつ小指が添えられていますが、お得意の跳ばし技が出始めるとその小指も使っていません。イメージ的には弓の元の方に手のひらが向いている感じといえば分かりやすいでしょうか。
ボウイングは真ん中あたりを使うのが基本にあるのかなぁ、という感じでした。音量は使う弓の長さと圧の両方を巧みに使い分けておられる印象があります。ここぞというところでは全弓。低音弦を引っ掛けるときの軽やかさも見事でした。
左手はどちらかというと「お盆持ち」に近い感じ。想像以上にカットが多く入っていました。文字通り音を切るためのカット以外に、独特のアタックが効いた装飾音らしい入れ方等、実に多彩な芸でこれもお見事。指のアクションは想像通り小さかったです。ビブラートは嫌味がない程度に心地よく。手が大きいのでスライドの所作はよく確認できませんでした。
そして今回生で拝んで強く思ったのはデュオだけどほぼトリオの演奏なんだなぁ、と。Martin Hayes のステップはバウロン要らずというか、第三の楽器になっているんですね。ゆったり弾いていても速くなっても常にオンビートの状態にあるというのが今回よくわかりました。
ポジション・チェンジは見る限り一度もなかったように思いますが、「The Dear Irish Boy」は3rd ポジションでした。後、後半のリール曲でE線のCもしくはC#を小指を伸ばして弾いていると思われる箇所がありました。

鬼気迫る身体のアクションと出てくる音の素晴らしさに圧倒されました。やっぱりホンモノは凄いです。来年11月に再来日されるとのこと、今から再会が楽しみです。

(2月12日追記)
よくお邪魔するブログでいくつかレポがあるのでリンクしておきますね。皆様それぞれ楽しまれた様子がわかるレポートばかりです。

・バンボンのMusic Diary by O'Bridge さん→http://bangbong.blog101.fc2.com/blog-entry-53.html

・アイリッシュな?楽器館 by Kevinさん → http://blogs.yahoo.co.jp/kevinhagi/51918763.html

・TRAD ~Traditional Irish Band ~ by TRAD(♀)さん → http://blogs.dion.ne.jp/trad/archives/6801887.html

・英国民謡好きの戯言 by バートっちさん → http://plaza.rakuten.co.jp/englishtradition/diary/200802110000/
スポンサーサイト



[ 2008/02/11 22:00 ] Concert | TB(1) | CM(10)

ちょっと面白そうなサイトだったので、訪問させてもらいました。
頑張って下さい。
ブログがとてもわかりやすくて、いいですね。
もし良かったら、相互リンクなんてお願い出来ないですか??
[ 2008/02/11 22:12 ] [ 編集 ]

いらっしゃいませ

>レオンさん

ご訪問いただきありがとうございます。
覗きに行きましたがあまり当ブログで扱う内容と被る部分がないように思いますので、申し訳ありませんが相互リンクは保留させてください。
[ 2008/02/11 22:22 ] [ 編集 ]

楽器は?

どう思われました?

意外と「おとなしい」感じがしました。
でもフォルティシモでは凄い音がしたので、ダイナミックレンジの取り方が上手いんだな~!
音色はペールギュントに近いような気もしましたが・・・・
Boxwoodのアジャスタ付きテールピースでしたね
明日早速仕入れなくっちゃ!
[ 2008/02/11 22:50 ] [ 編集 ]

弾き手次第の部分もあると思えど・・・

>アコハモマスタ~さん

楽器は比較的品のよいタイプ(?)と感じましたねぇ。
ケメ子嬢とか私はパントルの方が感触的には近い感じがすると話していました。ペールギュントはもうひと鍛えするとかなり近い楽器になるかもしれませんね。
ホールの最後列あたりで聴いているとフィドル系というよりヴァイオリン系という感じはしました。特に低音弦の鳴り方がそんな印象でした。

>でもフォルティシモでは凄い音がしたので、ダイナミックレンジの取り方が上手いんだな~!

御意!
小さい弓使いでも自在につけられる強弱も見事としかいいようがないです。

>Boxwoodのアジャスタ付きテールピースでしたね
>明日早速仕入れなくっちゃ!

さすが、商売人であらせられますね^^。
また今度うかがったときにでもじっくり拝見させてください♪
[ 2008/02/11 23:11 ] [ 編集 ]

すごい、

恐ろしい基、素晴らしい観察眼ですね。。
自分は弓の切り替えしタイミングばかり見ておりました。
意図的に切っても絶対途切れない呼吸法、があの変幻自在に膨らんだり細くなったりするノリのキーなのかなぁと。
後のセッション、お邪魔させていただきありがとうございましたv16日もよろしくです^^
[ 2008/02/12 01:25 ] [ 編集 ]

まだまだ・・・

>@嬢

表ヅラ中心の貧弱な観察眼です^^;

>意図的に切っても絶対途切れない呼吸法、があの変幻自在に膨らんだり細くなったりするノリのキー

こういう捉え方がまだできないんですよね~。言われてみてなるほどと感心いたしました♪

セッション、お越しいただきありがとうございました。いろいろと心配りしていただいてとても助かりました。16日もよろしくお願いいたします。
[ 2008/02/12 07:33 ] [ 編集 ]

おせわになりました

浅草ではお世話になりました。オサムさん、ご紹介いただいてありがとうございます。
9日も結構見知った顔がありましたが、武蔵野は確かに大勢いましたよね。私でも20人以上は知り合いがいたかな。
8日の夜は、来店時間も遅かったり、他のいろんな関係上オープンにできず失礼しました。
お二人とも非常に物静かな紳士でした。うちにいらした中で、お酒を飲まないミュージシャンは初めてでしたが、その分、ステージでの集中力がすごいのでしょうか。
LAUなんか、ステージの上でビール飲んでましたけどねぇ(笑)。
[ 2008/02/12 10:15 ] [ 編集 ]

至福の二日間

>josanさん

二日間、素晴らしいものを体験できましたね。
おかみさん、寝てしまうことを心配されてましたが、満足されてたようでよかったです。
彼らのパフォーマンス、酔っぱらうと制御がきかなくなるかもですね。すごくびみょーな線でバランスが取れているのだろうと思います。会場を支配する凛とした緊張感はそんなところから生まれているような気がします。
仕事次第ですが寄れそうだったら顔を出します。
[ 2008/02/12 12:23 ] [ 編集 ]

すばらしい分析!

相変わらず激しい日々を送ってますね~
Martin HayesはCDでしか聴いたことがないのですが
モハーさんの分析、なるほどな、と納得です。
スピードと圧力の絶妙なバランスがないと、ああいう音は
出せないですもんね。また研究しときます。
今回は見れませんでしたが、次回来日時は
ぜひ生マーティンをおがみたいものです^^
[ 2008/02/12 23:40 ] [ 編集 ]

照れます・・・^^;

>kon さん

素晴らしい公演でした。待った甲斐がありましたよ。
彼らのパフォーマンスはあらゆるデュオ・チームに必ず参考になるのではないか、と思います。二人で出来る可能性を探索する楽しみを教えてくれているようにも思います。

マネをするには程遠い存在ですが、いくつかヒントを得ることはできました。お会いしたときにでも披露できるまでになっていれば、と思います。セッションがハネた後に@嬢とも少し話を出来て多分・・・。

絶対観ておいて損はないです。次の来日もほぼ決まっているようですし、是非是非次回こそは!

>相変わらず激しい日々を送ってますね~

はい、身体ボロボロで頑張っとります・・・苦笑
[ 2008/02/13 00:15 ] [ 編集 ]

コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://moher.blog28.fc2.com/tb.php/381-f73c9cfc


「マーティン・ヘイズ&デニス・カヒル フィドル&ギター・デュオ」:チラシに釣られてジグ&リール

会場:武蔵野市民文化会館 2008年2月10日 古楽のコンサートで会場に行った時にたまたまこの公演のチラシを見つけて、どんなアーティストだか全然知らないままチケ
[2008/02/20 06:13] URL ひねくれ者と呼んでくれ