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都市伝説は本当か・・・Part1

都市伝説(Urban Legend):「口承される噂話のうち、現代発祥のもので、根拠が曖昧・不明であるもの」(大辞林)

聞こえはカッコいいが、都市伝説ネタとして語られるものから受けるイメージはあまりよいものがない。本来の意味をよく知らないが、「都市伝説」と聞くだけで「はいはい、眉唾ものの話ね」というのが一般的なところだと思う。
この手の話は大抵はどっちでもいいことが多いが、これが興味ある分野の話となると簡単にうっちゃるのが難しくなる。自らの手で大した手間もおじぇじぇもかけないで確認できるものはある意味罪がない(ま、こういうものは都市伝説にならないだろう・・・)が、手間ひま・おじぇじぇを要求されるものは扱いが少々厄介だ。ネタは既に数種用意があるのだが、このシリーズは不定期連載である。

50mmレンズに加えて35mmや28mmレンズも戦力が増えて、ラインアップとしてはじゅうぶんだと思えるレベルまで来たが、それでもヒマなときにはオークションを眺めて相場の調査をしたり、「これは!」というものはチェックを続けている。この世界に足を踏み入れるにあたっては、いくつか約束事を自分の中では決めていて掟違反で入手したのは2例だけ。いずれも35mmフルサイズなら超広角にあたるレンズでSuper Angulon 21mm F4(R)とSuper Wide Heliar 15mm F4.5である。Super Angulonは価格面での約束事を、Super Wide Heliarは新品購入しないという原則を意図的に破ったが、実際それだけの価値があった。(既に画像は当ブログで少し晒しているが、近い内にちゃんと紹介する予定)
価格面での約束事を厳格適用するとよい評判を聞くもので手にできないレンズが山ほどあるが、低値のまま終了間際まで推移している高嶺の花の一品が目に付くときがごく稀にある。オークションは終わり間際10分以降が勝負になることが常だが、似たようなレンズが出物ラッシュになっているときに密やかにしている出物が見つかることがあるのだ。

横道にそれたようで実はそれていない。

都市伝説とまで言わないものの、レンズの世界にも信憑性が疑わしい話は結構ありそうな気がするのだ。実際そういうネタで書籍を出している輩もいる。実際問題として小遣い銭程度で試せるならいいが、私が堅持する価格面での約束事を嘲笑うような値段のものでは話の真贋を試そうにも試せない。いや、厳密に言うと手を出せなくはないものもあるのだが、くだらないオチが待っていましたではシャレにならないから始末が悪い。

先述の「低値のまま終了間際まで推移している高嶺の花」に絡んで、3月には「大山鳴動鼠一匹」事件を経験した。その当時個人的に気になっていた都市伝説は「Radioactive Summicron」である。Summicron 5cm F2(Mマウント、沈胴)は既に紹介したが、ごく初期のSummicronに放射性同位元素トリウムを含有するアトムレンズを採用した個体があり抜群の解像度を誇るという伝説である。ガイガーカウンターで検出可能なレベルの放射能(放射脳ではない、念のため)を出すレンズで経年とともにレンズが黄変する(カラーの描写も黄色味がかる)らしいが、特にモノクロではかなりの描写力を持つレンズということで気になったのであった。無意味に「Atom Heart Mother」が脳みそソングになった、というのはウソです・・・。
3月の「大山鳴動鼠一匹」事件、事の発端はこのRadioactive Summicronであった。あまり値が上がらないままオークション終了日を迎えたのでまずは軽い値段で入札していたのだが、間が悪いことにこの日終了予定のレンズが出物ラッシュでいくつか唾をつけていた。記憶をたどると

Summicron 5cm F2 (Radioactive)
Summicron(Dual Range)数種
Super Angulon 21mm F3.4
Summicron 5cm F2(固定鏡胴)数種

など。

いずれも高嶺の花圏にいるレンズ達、揃いも揃ってあまり動きがなかったこれらが残り15分くらいから同時多発的に激しい叩き合いになったのである。実はこの日は某所でセッションしていたのだが、もはやそれどころではない(笑)。値動きを見ながら最終的にどれを標的にするか思案していた中、最後に記したSummicron 5cmF2(固定鏡胴)のひとつだけが価格面での約束事に納まる金額で鎮座していた。「しめしめ、これは貰ったわ」とほくそ笑んでいたのだが、適度に競り合ってくれる相手が出てこない。結局、出品者の希望額に達せず時間終了を迎えたため出品を取り消されてしまったのである。時間にしてたかが数十分だが徒労感著しく、手を振り上げたものの下ろす場所を得ずという空虚感だけが残った。これが「大山鳴動鼠一匹」事件である・・・(「二兎を追うもの一兎をも得ず」ともいう・・・苦笑)。というか、鼠さえ出なかった(笑)。

因みにラインアップにSummicronが目立っているのは偶然ではない。以前に取り上げた「50cm F2の世界」シリーズでも少し匂わせているが、今使っているSummicronにはあまり満足していないのである。確かにひと絞りすれば世間でよく言う「解像度の素晴らしさ」を実感できるのだが、絞り開放で撮るのが好きな私にとってSummitar の方が性能がよく「さすがSummicron!」という実感がない。本当にこの程度なのかという疑問が残っていたわけだ。「空気まで写る」と評される写りを実感したくて、少し後の固定鏡胴のもの(Dual Rangeを含む)かアトムレンズかな、というのがこの当時の狙いだったのである。

それから1ヶ月、偶然はまたやってきた。こともあろうにSummicron、Summiluxなどに多数出件がある中、あの目の前から姿を消したSummicron 5cm F2(固定鏡胴)が再度現れたのだ。この日もまた、候補レンズが多数ある中、残り30分くらいから再び同時多発叩き合いである・・・苦笑。出張中で物理的状況が厳しい中、結局値が一番安かったのは件のSummicron 5cm F2(固定鏡胴)で、今回は出品者の希望額と当方の約束事を満たす値で無事落着した。何のことはない、他のSummicron固定鏡胴が猛烈に競っているのに対して、こちらは冷やかし程度というかお茶濁し入札が数件あっただけだった。

Summicron50mmF2.jpg
Summciron50mmF2(M、固定鏡胴)


Summicronの初期型は沈胴式(Lマウント:1953年〜、Mマウント、1954年〜)に始まり、1956年から固定鏡胴となったが、入手したのは固定鏡胴の後期型である。この固定鏡胴型にも都市伝説がある。「アサヒカメラのニューフェース診断室のレンズ解像度レコードを出したレンズ」という話である(正確には固定鏡胴の前期型で出たらしい)。
レンズ解像度のレコードを出したことは事実だろうが、その記録がいまだに破られていないとか言われると都市伝説だな、というのが私の考え。今も記録が破られていないかどうかは大きな問題ではない。調べたところでは、当初出た沈胴型と前期の固定鏡胴型は鏡胴が違うだけで、固定鏡胴の後期型はそこから某かの手が加わったということらしく、描写も固定鏡胴後期をよしとする向きが多いらしい。となれば、6群7枚構成・空気レンズの採用という初期型の完成形としてどんな描写か、が興味の全てである。

見てくれはかなり使用感があるが、光学系は一箇所キズがあるもののAPS-Cサイズで使うのはレンズ中央から7割程度だからまず問題ない。出品者の方とはこれ以前に二度ほど取引があって信頼している方だからこそ買う気になったともいえる。出張から戻ると既に届いていたので疲れのことはうっちゃって試写である。ファインダーを覗いただけで「どうもこれは只者ではないぞ」と思ったが・・・

近所の商店街
R0041825.jpg
・・・。こりゃ、伝説じゃない、真実だわ(驚)


夜の試し撮りでよく使う商店街で、通常この時間帯の撮影では感度をISO800あたりにするのだが、ISO200でも楽に撮れることにまず驚いた。絞り開放で比較的近いポイントにピントを持ってきたのだが、照明が近くから遠くまでしっかりと描写できている。これは初めての経験だ。この暗さだと遠くなるに連れて照明はぼやけて輪郭がよくわからなくなってしまうというのが経験則だった。

気を取り直して居酒屋の常連さん。
R0041843.jpg
・・・・・・。レンズ解像度レコード云々の先入観がなくとも凄すぎる(驚)

絞り開放、ISO200、明るくもなく暗くもなくという照明の店内だが、何ともうっとりする描写力である。特に掌の描写などは現代のレンズでもここまで描写しきれるものは案外ないのではないか、という鮮明さだ。しかもそれだけ鮮明なのにカリカリした感じがない。一緒にいた知り合いも「すんごい写りをするレンズだね」と驚くことしきりだった。

翌日の八重洲地下街。ポストを含めた通路をどこにピントを置いて撮ろうかと思案していたらポストに投函する女性が現れた。迷わずバシャ、である。
R0041886.jpg
ピントがビッタリ合うとこんなに心地良い、という見事な描写をしてくれた。


どおりで市場でも沈胴タイプより数万円上で取引されているワケである。Summicron50mmF2(固定鏡胴)の描写は都市伝説ではなく、ホンモノのようである。
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[ 2012/04/25 23:49 ] Camera | TB(0) | CM(0)

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