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馬と人を巡るドラマ

今年は80回の節目だった東京優駿日本ダービーは皐月賞不出走ながら1番人気のキズナが見事な差し切り勝ちを決めた。鞍上の武豊騎手はこれでダービー5勝目。調教師・馬主ともに初めてのダービー制覇。
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今回のダービー、馬と人を巡るいろんなことが競馬歴20年程度の私ですらずいぶん出てきて、馬券が当たる外れるとは別次元で感慨深いものがあった。

ちょいと羅列するだけでも

(1)ディープインパクト産駒は昨年のディープブリランテに続いて2年連続の父子ダービー制覇
(2)姉ファレノプシス(1998年)は武豊鞍上で桜花賞・秋華賞を制覇したクラシックホース(左記以外にエリザベス女王杯)
(3)キズナの母キャットクイル(Catequil、1990年)はパシフィカス(Pacificus、1981年)の妹。Pacificusはビワハヤヒデ(菊花賞、天皇賞・春、宝塚記念)やナリタブライアン(朝日杯、皐月賞、ダービー、菊花賞、有馬記念)を輩出
(4)武豊はディープインパクト(2005年)以来のダービー制覇で、そのとき2着だったインティライミの調教師はキズナの調教師でもある佐々木晶三調教師。またインティライミの佐藤哲三騎手はレース中の故障で休養するまでキズナの主戦騎手で2戦2勝
(5)2着馬エピファネイアの母シーザリオはディープインパクトと同じ世代のオークス馬(2005年)で鞍上は同じ福永騎手。そのシーザリオのオークスでは2着がシーザリオの強襲に敗れた武豊鞍上のエアメサイア

といった具合。

レースは昨年より前半1000mが1秒近く遅かったものの、この距離にしては比較的流れた方だろう。途中メイケイペガスターは若葉賞のときと同じく引っ掛かって先頭に立ったもののそれ以外は馬順も落ち着いていた。

勝ったキズナは毎日杯・京都新聞杯同様後方から。1番枠をいかして4角までコースロスなく内を回り、4角で前が壁になるところをうまくこじ開けて出てきた。坂を上りきるまではハラハラしたが、それ以後は矢のように伸びて上がり3ハロンを33.5秒。父を髣髴とさせる切れ味だった。馬体をあわせることを考えず真っ直ぐ追ったのも勝因のひとつだろう。インタビューでも「自分自身が慌てないように」とあったとおりで、4角の捌き方はさすがであった。弥生賞で皐月賞の権利取りをできなかった時点からダービー主眼に切り替えた陣営の執念が実ったのだろう。毎日杯快勝から間に京都新聞杯を挟んだのも正解だったと思う。

2着のエピファネイアは3~4角で躓くアクシデントがあったが、敗因はやはり道中掛かり通しだったことだろう。福永は自身の騎乗を悔いていたがあの状態でよく2着まで持ってきたのではないかと思う。キズナとの差は鞍上にダービー勝ちの経験有無じゃないかな。今回の2着は来年以降に必ず生きてくると思う。

2番人気ロゴタイプは掲示板には乗ったが少々物足りない5着。切れる脚が使えないだけにもう少し早めに前を捕まえに行けば着順はあがったかも。並ばれても抜かせない勝負強さが生きなかった気がする。鞍上がコロコロ変わるのがどうかと思うが、ミルコが乗っても勝ちまであったかどうかは微妙で、2000mくらいまでが適距離っぽい。

2歳時は3本の矢とも言われたF厩舎の3騎はコディーノの9着が最先着。東京競馬場で追い切りをかけたり、コディーノ・フラムドグロワールは屋根を乗せ変えたりと動いてきたが結果は出なかった。2歳時の強さから想像し難いが、馬を仕上げることの難しさを痛感させられる。3騎とも昨年末から流れを失い順調さを欠いたことがダービーでも如実に出た印象だ。

なお、ダービーにもたくさんのジンクスが存在するが、今年を終えて残ったものを備忘録で記しておく。

・騎手乗り代わりの馬は勝てない(1986年まで遡っても例がない)
・青葉賞組は勝てない(例外なし。対して京都新聞杯組は2000年アグネスフライト以来キズナが2勝目)
・母父サンデーサイレンスの馬は勝てない(例外なし)

さらに例外がないわけではないが、覚えておいたほうがよいジンクスもある。

・皐月賞からの直行組だけで1~3着を独占することは稀(2010年、1999年、1995年、1993年のみ皐月賞組で決着)
・皐月賞からの直行組が1頭も絡まないことも稀(2004年、2002年、1996年のみ該当)
(但し、2004年は2着のハーツクライが皐月賞→京都新聞杯→ダービー、2002年は1着タニノギムレットが皐月賞→NHKマイルC→ダービー、1996年は3着メイショウジェニエが皐月賞→青葉賞→ダービーであり、正確には皐月賞出走組が1頭も絡まないことは稀、というのが正解。トライアルの時期変更以降は該当する年がない)
・皐月賞、NHKマイルC組以外は前走1着であること(2013年アポロソニック、2009年アントニオバローズ、2007年アサクサキングス、1998年ダイワスペリアー、1996年メイショウジェニエ、1994年ヤシマソブリン、1992年ライスシャワー、1991年イイデセゾンが例外。なお、これらの組からダービー馬は出ていない)

ここ4~5年の趨勢では、地方競馬出身騎手や短期免許でくる外国人騎手の活躍が目立つ中央競馬だが、先述の「乗り代わりではダービーを勝てない」というジンクスもあるとおりで、頻繁に屋根がかわるのは考え物だと思う。昨年G1を賑わしたルーラーシップもそうだが、屋根を頻繁にかえることが馬自体に微妙な悪さをしているように思えてならない。実力主義・結果主義というのはわかるが、「人馬一体」ということを考えると何かが違う気がする。早くに鞭を置いて転身する騎手が増えてくる趨勢をかえる何かが必要だと思うし、今回のダービーを見ると騎手の育成という側面も考慮した工夫がいるのではないか、と思った。

キズナは凱旋門賞に登録済らしい。WEB上では「スミヨンが乗るオルフェーヴルより、(日本人騎手である)武のキズナを応援したい」という声が多いようだ。ステップレースに札幌記念というのはいかがなものかと思うが、私も気分としては同じ。もしキズナが凱旋門賞もということになれば、それこそ漫画や小説では絶対に描き得ないドラマであろう。震災の年、ドバイ・ワールド・カップで日本馬ヴィクトワールピサがMデムーロで制したのは記憶に新しいが、日本産馬に日本人騎手が跨って勝ってこそ喜びも半端なものではないと思うのだが・・・。

何にせよ、第80回の東京優駿は私の胸に大きく響く名レースであった。各馬・各騎手・各陣営、みなさまお疲れ様でした。また来年、よいレースを見せてくださいませ。

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[ 2013/05/28 00:25 ] 競馬日誌 | TB(0) | CM(0)

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